収納代行会社から届いた振替結果の一覧を見て、同じ入居者の振替不能が続いていることに気づき、考え込む賃貸管理担当者

家賃の口座振替が不能続き、支払方法の切り替えを相談する進め方

月初、収納代行会社から振替結果が届く。一覧を上から見ていくと、見覚えのある部屋番号にまた「振替不能」の印。先月も、その前の月も、同じ方だった気がする——。 そんなとき、少し気が重くなりますよね。督促の電話をかけるほどのことなのか、また振込をお願いするだけでいいのか。毎月同じやり取りを繰り返すうちに、こちらも相手も、なんとなく疲れてきてしまう。

口座振替の「不能」が続くのは、入居者がだらしないからとは限りません。口座を変えたまま手続きを忘れている、引き落とし日と給料日がずれている、暮らしの事情が少し変わった——理由はさまざまです。だからこそ、責める前に一度だけ立ち止まって、支払方法そのものを見直す相談をしてみましょう。この記事では、その進め方を順番に整理します。

結論:口座振替の不能が続くときは、①振替結果から「何回目か・理由は何か」を確かめる → ②その月の家賃は、振込など確実な方法でいったん受け取る → ③責めずに「なぜ落ちるのか」を一緒に確かめる → ④理由に合った支払方法を提案する(口座の再登録・引き落とし日との調整・振込への切り替え・保証会社の支払方法など)→ ⑤決めた内容を書面で残し、翌月の振替結果まで見届ける、の順で進めます。督促の前に「払いやすい仕組み」に直せると、滞納の芽を小さいうちに摘めます。

次の順番で、ひとつずつ動きます。

  1. 振替結果を見て、不能の回数と理由を確かめる
  2. その月の家賃を、振込など確実な方法でいったん受け取る
  3. 責めずに、落ちる理由を入居者と一緒に確かめる
  4. 理由に合った支払方法を提案し、切り替えを相談する
  5. 決めた内容を書面で残し、翌月の振替結果まで見届ける

何が起きているか——「不能」の理由はひとつではない

口座振替(入居者の口座から毎月決まった日に家賃を引き落とす仕組み)は、うまく回っているあいだは、管理側も入居者も手間のかからない方法です。ただ、一度つまずくと、同じつまずきを毎月くり返しやすいという面があります。

振替不能の理由として、現場でよく出会うのは次のようなものです。

収納代行会社から届く振替結果に、不能の理由が区分で書かれていることもあります。どこまで分かるかは契約している収納代行会社によって違うので、まずは手元の結果票で「理由の欄」があるか確かめておくと、次の一歩が決めやすくなります。

ここで押さえておきたいのは、同じ「不能」でも、理由によって打つ手がまったく違うということです。口座を変えただけの方に何度督促を送っても解決しませんし、給料日とのずれが原因の方には、口座を登録し直してもらっても翌月また落ちてしまいます。

振替不能の理由「口座変更」には「再登録」を、「残高不足」には「振込」への切り替えを対応させた図
落ちる理由がわかると、切り替え先が見えてくる。口座を変えていたなら再登録を、残高不足や給料日とのずれなら振込などを相談する。

まず、振替結果で「何回目か・理由は何か」を確かめる

最初の一歩は、事実を確かめることです。入居者に連絡する前に、手元の記録で次の点を見ておきます。

とくに最後の点は、担当者によって説明がぶれやすいところです。「再振替はあるのか」「振込手数料は誰が持つのか」「不能時の手数料を請求できるのか」は、契約書と収納代行会社との取り決めに書いてあることだけを伝えるようにしましょう。書かれていない手数料をその場の判断で請求すると、あとで話がこじれやすくなります。

保証会社が家賃の集金まで引き受けている契約(保証会社の口座振替で家賃を払ってもらう形)では、振替不能の連絡や、その後の入金のお願いは保証会社から入居者に届くことが多いです。自社で集金しているのか、保証会社が集金しているのか——担当物件ごとに一度確かめておくと、動くべき人がはっきりします。

その月の家賃は、いったん確実な方法で受け取る

理由を確かめる前でも、その月の家賃はどこかで受け取る必要があります。ここは、支払方法の見直しとは切り分けて進めるのがコツです。

入居者への最初の連絡は、責める言い方を避けて、事実と次の一歩だけを伝えます。

「〇月分の家賃の口座振替が、今回は引き落としにならなかったとのお知らせがありました。お手数ですが、〇日までに下記の口座へお振込みいただけますでしょうか。ご事情があれば、遠慮なくご相談ください。」

最後のひとことがあるだけで、入居者から「実は口座を変えていて……」「給料日が変わって……」と話してもらいやすくなります。初回の連絡の言い回しは、家賃が遅れたときの最初の一報、督促より先に確認したいこともあわせて見てみてください。

責めずに、「なぜ落ちるのか」を一緒に確かめる

不能が2回、3回と続いたら、振込のお願いだけで終わらせず、一度ゆっくり話を聞く時間をとります。電話でも、更新や点検で顔を合わせるついででもかまいません。

聞き方は、問い詰めるのではなく、一緒に原因を探すイメージで。

ここで大切なのは、入居者の事情に深入りしすぎないことです。収入や家計の中身まで聞く必要はありません。知りたいのは「どうすれば毎月、無理なく払える仕組みになるか」だけ。そのつもりで聞けば、相手も身構えずに答えてくれます。

もし話の中で、仕事を失った・病気で働けないなど、暮らしそのものが苦しくなっている様子が見えたら、支払方法の工夫だけでは足りないかもしれません。そのときは、分割の相談や、地域の相談窓口につなぐことも視野に入れて、別の流れで丁寧に進めます。

理由に合った支払方法を提案する

原因が見えたら、それに合った方法を提案します。選べる方法は、自社や保証会社、収納代行会社が扱っているものの中からになります。代表的なのは次のような切り替えです。

依頼書の書き直しや、収納代行会社のWeb受付での登録など。反映までに1〜2か月かかることが多いので、「切り替わるまでの月は振込で」とあわせて伝えます。

収納代行の仕組み上、引き落とし日を個別に変えられないことも多いので、できるかどうかを先に確かめてから提案します。変えられない場合は、「給料日のあとに振込で払う」ほうが無理がないこともあります。

振込手数料をどちらが持つか、振込期日はいつかを、契約の定めに沿ってはっきり伝えます。

扱いがあるかどうかは会社によって違います。使える方法だけを、無理に勧めずに並べます。

どの方法にするかを決めるのは、入居者自身です。管理側は「こういう方法もあります」と並べて、一番続けやすいものを一緒に選ぶ立場でいると、話がまとまりやすくなります。支払方法の変更がオーナーの了承を要する取り決めになっている場合は、決める前にひとこと相談しておきましょう。

決めた内容を書面で残し、翌月まで見届ける

相談がまとまったら、口約束で終わらせず、決めた内容を短い書面やメッセージで残します。

そして、翌月の振替結果(または入金)を必ず確かめます。切り替えたつもりで手続きが途中で止まっていた、という行き違いは意外と多いものです。無事に入っていたら、「今月は問題なく引き落としになっていました。ありがとうございます」とひとこと伝えられると、入居者との関係もぐっと穏やかになります。

影響

口座振替の不能を「毎月振込をお願いするだけ」でやり過ごしていると、入居者は「どうせまた連絡が来る」と感じ、管理側は同じ連絡に毎月の手間をとられます。そのうちに、うっかりの不能が本当の滞納と見分けにくくなり、気づいたときには二か月分、三か月分とたまっている——ということにもつながりかねません。

逆に、理由を確かめて支払方法を一度立て直せば、翌月からは連絡そのものがいらなくなります。入居者にとっても「毎月ヒヤッとする」状態から抜けられる。督促の前にできる、いちばん穏やかな立て直しです。

明日やること

全部そろえなくて大丈夫です。今日は、ひとつだけ手をつけてみましょう。

このうちひとつあるだけで、次の月初に振替結果を開くときの気持ちが、少し軽くなります。

チェックリスト

「振込をお願いして終わり」ではなく、理由を確かめて、仕組みを直すところまで進めます。

事実の確認

入居者との相談

切り替えと見届け

最後に

毎月の振替結果を見て、同じ部屋番号にまた印がついている。その小さな引っかかりに気づけていること自体が、もう立派な仕事です。見過ごしてしまえば、ただの「今月も振込待ち」で流れていくところでした。

口座振替の不能は、責めるより、仕組みを直すほうが早く片づく困りごとです。理由を聞いて、払いやすい方法を一緒に選ぶ。それだけで、来月からの月初が少し静かになるかもしれません。今日は、直近3か月の振替結果を一度だけ見返してみましょう。

月初の朝、振替結果の一覧を見てすべて引き落としが済んでいることを確かめ、ほっと笑顔になる賃貸管理担当者
来月の月初は、少し静かに。仕組みを一度直せば、同じ連絡をくり返さなくていい。

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