経過年数とは?住んだ年数で原状回復の負担が下がる考え方をやさしく解説

「6年住んだから全部タダですよね」と言われた日に

退去精算の説明をしていて、入居者からこう言われることがあります。

「6年住みましたよね。クロスはもう価値ゼロって聞きましたけど」

半分は合っていて、半分は違う。でもその場で違いをうまく言葉にできず、もやっとしたまま電話を切る——そんな経験、ありませんか。この「6年」の正体が、経過年数の考え方です。

経過年数とは?ひとことで言うと

経過年数(けいかねんすう)とは、入居してから退去するまでに経った年数のことです。原状回復の場面では、「その内装や設備を、何年ぶん使ってもらったか」を表す数字として使われます。

入居から年数が経つほど入居者の負担割合が小さくなっていく様子を階段状に表した図
年数が経つほど残る価値は減り、入居者に求められる負担も下がっていく

なぜこれが効いてくるかというと、内装や設備の価値は、時間とともに減っていくからです。新品のクロスと、5年使ったクロスでは、残っている価値が違います。だから、入居者に原状回復の負担をお願いする場合でも、その時点で残っていた価値のぶんだけ、という考え方をとります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」が示している考え方で、実務でも裁判でも参照されています。

賃貸管理の現場では、どこで使う?

経過年数が出てくるのは、ほとんどが退去精算まわりです。

計算に使うのは、耐用年数経過年数の2つです。耐用年数はその内装・設備が価値を保つ年数の目安で、クロス・カーペット・クッションフロア・畳床などは6年が使われます。

なぜ大事なのか

ここを押さえておくと、請求額に「なぜ」を添えられるようになるからです。

同じ5万円の張替え費用でも、「入居2年目の方に4万円」と「入居5年目の方に8千円」では、まったく違う話になります。担当者のさじ加減ではなく、年数という誰でも確かめられる根拠で決まっている——そう伝えられると、相手の受け取り方が変わります。

具体例で見る

クロスの張替えに5万円かかり、入居者の故意・過失による損傷だと整理できたケースで考えます。

耐用年数は6年。6年で残存価値が1円まで下がっていく、と考えます。

計算の当たりをつけるには、原状回復・入居者負担の目安 計算機が使えます。

つまり現場では?

経過年数を確認するということは、入居日と退去日を見て、その差を計算するという、それだけの作業です。

難しいのは計算ではなく、「どの箇所に何年の耐用年数をあてるか」と「そもそもこれは入居者負担なのか」の判断のほう。経過年数の話は、入居者負担だと決まったあとに出てくる、と覚えておくと順番を間違えません。

知らないとどう困る?

経過年数を考えずに、張替え費用の全額を入居者に請求してしまうと、「払いすぎでは」と後から返金対応になることがあります。長く住んでくれた方ほど、金額のインパクトが大きくなるので、こじれやすい部分です。

逆に、経過年数だけを見て「6年住んだから何も請求できません」とオーナーに伝えてしまうと、本来請求できたはずのものまで貸主負担にしてしまいます。どちらも、あとから説明に困ります。

よくある勘違い

明日やるならこれ

直近の敷金精算書を1件だけ開いて、入居者負担にしている項目に「経過年数」と「耐用年数」が書いてあるかを見てみましょう。金額だけが並んでいたら、そこに一行足せるところがあるかもしれません。

ひとことで言うと

経過年数とは、入居から退去までに経った年数のことで、長く住んだ人ほど原状回復の入居者負担が小さくなる、という計算の土台になる数字です。

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